ご存じの方も多いと思いますが、近年、「ナースキャップ」は多くの病院で廃止されています。以前は、看護師と言えばナースキャップを連想するくらい白衣の天使の象徴になっていましたが、なぜ廃止の流れになっているのでしょうか。その理由を簡単にご説明します。
ナースキャップが廃止されている理由
01 不衛生
見る側からすると、ナースキャップはとても清潔な印象があります。しかし、実際はナース服のように毎日交換するわけではないので意外と不衛生。ナースキャップは形を維持するためにノリ(コーンスターチ)で固められていますが、このノリに細菌が繁殖するという調査結果もあるようです。医療従事者である看護師のナースキャップが患者さんの感染症を引き起こしてしまったら、大きな問題です。
02 外れやすい
ナースキャップは、一般的な帽子のように被るタイプではなく、頭に載せてピンで留めているだけ。前かがみになったり、しゃがんだり、患者さんを抱えたりするときにポロリと外れてしまうことも少なくありませんでした。
03 男性看護師の増加
最近は男性看護師(ナースマン)が増えています。男性がナースキャップをかぶるのはちょっと・・・ということもあり、男女平等の観点から一斉に廃止する病院も多くあります。
変わりつつある看護師像
ナースキャップが廃止されつつある理由としては、01の衛生面が大きいようです。ナースキャップが不潔であると分かってから、多くの病院はナースキャップの廃止に踏み切り、現在では一部の医療機関で残っているだけのようです。
「ワンピース型白衣にナースキャップ」という姿は、確かに看護師のシンボルでした。しかし、白衣自体もワンピースタイプからパンツタイプへと移り変わっており、ナースキャップもその姿を消しつつあります。白衣の天使の象徴が失われていくようで一抹の寂しさも感じますが、現場の意見や衛生面・安全面を考えたら、もうナースキャップにこだわる必要はないのかもしれませんね。
戴帽式はどうなる!?
看護学校では、学生が病院実習に行く直前に「戴帽式」という儀式が行われます。看護師の卵たちが初めてナースキャップをかぶり、ナイチンゲール像から灯りを受け取り、ナイチンゲール誓詞を読み上げる伝統行事ですが、ナースキャップの廃止にともない、現在では戴帽式を廃止する看護学校も多くなっています。とはいえ、戴帽式は学生たちが看護師になる喜びを噛みしめ、看護師として働く自覚を新たにする場ですから、なくなってしまうのは残念に思う方も多いでしょう。ナースキャップは廃止しても戴帽式を実施している学校や、戴帽式から看護白衣式に変えて実施している学校があるようです。